無垢の木がある家庭をお手頃に
そもそも無垢の木はあまり普段の生活では聞き慣れない言葉です。わかりやすい言葉で『純粋無垢』と呼ばれるものがありますが「まったく混じり気がなく、汚れのない状態」を表現する言葉です。木材にも同じことが言えて森林から伐採して手を加えていないものを無垢材と呼びます。その反対で、1950年代から日本でも普及しはじめた2~3センチの木板を貼り合わせて作る工場生産品を「集成材」と呼びます。
もともと日本の木工家具には無垢の木が多く使われてきていました。大事なものを長く使う習慣がある日本人にとって無垢材を使った木工家具は使えば使うほど年季が経つにつれ「味わい」も出て、長く一緒に時間を過ごすものとして重宝されてきました。しかしながら比較的に安価で安定した素材を提供できる集成材と比べ、無垢材はある程度の大きさを保証する必要があるため、仕入れの難しさや年代によって価格の上昇もあります、そのため一般家庭で利用される木工家具の多くは集合材のものが多くなりました。
無垢材と集合材、どちらの素材が優れているという訳ではなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。
詳しい違いは「素材へのこだわり」で説明をしていますが、無垢材の最大の特徴は、大事に利用していただければアンティーク家具と呼ばれるまで長く利用できることです。長く利用してきた木工家具特有の色合いは新品の家具では出せないものです。もちろん 光松庵 でご提供させていただく木工家具も最初は新品ですが、これから大事に使っていただく家具につく傷やへこみ、汚れも愛着の湧くものになってきます。
無垢材を使った家具を購入することは決してお手軽なことではありませんが、その分 光松庵 も責任感を持って木材選びから製造まで努めさせていただいています。修理はもちろん、その時々に合わせてリメイクのご相談や実施も含めて、末長くお付き合いできれば幸いです。
私たちのことをご信頼いただいてのこともあり大変ありがたいお話ですが、よく「良い木を選んでください」とご依頼をいただくことがあります。良い木材とは一体どのようなものを指すのかは素材や保管状態によっても異なってきます。
檜(ヒノキ)、杉、ウォールナット、ホワイトオークなど横文字も含めて色々な木材の名前を耳にしたことがあると思います。これらは木材の元になる木の名前の違いです。実は高ければ高い程よい訳ではなく、昔は一般的な木材だったものでも現在では仕入れが難しくなり希少価値によって価格も変動してきました。また国産の木を使って欲しいとリクエストをいただく場合も多いですが、これも国産だからと言って良いものとも限りません。
元々の素材が「木」なので、その木が育った環境が適した環境も良い木材としての品質を左右します。乾季の多い場所や雨季の多い場所でも育つ木の特徴も変わります。そのため国内では育たないような木も世界中にはたくさんあります。
それぞれの木にそれぞれの特徴があり、強度や色合いなども大きく異なります。弦楽器などでよく使われる、強度があり乾いた手触りのものもあれば、黒檀(コクタン)のように磨けば漆黒に美しく輝く木材もあります。木工家具でも強度の強いものもあれば、家庭工具でも扱いやすい柔らかいものもあります。これもどちらが優れている訳ではなく、木が本来持つ特徴ととらえてもらえればと思います。
良い木材は素材そのものが持つ特徴によって異なってくるものですが、質が良い木材にとって大きく左右するのは、その木材を利用できる状態までに持っていく保管方法です。
木によって異なりますが、多くの木材は伐採時に50%から60%ほどの水分を含んでいます。水分を多く含んだ木材は変形がしやすいため、木工家具として組み立てた後に歪みやずれを生じさせます。無垢の素材は聞こえは良いですが、しっかりと乾燥したものを利用しないと、その分大きな弊害を及ぼしますし、長く利用することもできません。昔の職人は現代よりも無垢の木に触れる機会が多く、木材が発する音を「木の声」と表現し、その声を聞き対話しながら状態を確かめているほどでした。安定した集合材が多く普及したこともあり、最近では木材と対話ができる技術を持った職人が減ってきているとも言われています。
光松庵は、長く多くの無垢の木に関わってきました。国内だけではなく、アジアやアフリカなど世界中の無垢材を保管してきました。幼い頃から木材に囲まれた環境で過ごしてきたおかげで、自然と木材の声を聞いてきました。現在でも今すぐに利用できる無垢材から数年先まで全く使い物にならないものまで多くの木材に囲まれています。
木が持っている特徴と、それぞれに適した保存環境、良い状態を聞き分ける職人が揃って、良い品質の木材が完成すると思っています。
無垢材のメリット
・木が本来持つぬくもりや重厚感がある
・年季とともにアンティークとしての味わいが出る
・木を削り新品同様に仕上げられる
・デザインを変えリメイクすることができる
・長く利用でき次の世代でも使える
・水気や湿気に強い
無垢材のデメリット
・集合材と比べ高価になることが多い
・変形(そり)やひび割れなどがある
・木材の乾きなどハズレが出ることがある
・重量が重い
・安定した供給ができない
集合材のメリット
・比較的に安価で安定した供給ができる
・そりやひび割れなどの変形が起きにくい
・軽量な素材を組み合わせることで重量が軽い
・素材の質が安定しているためハズレが少ない
集合材のデメリット
・長く利用するよりも一定期間での買い替えが多い
・木材がアンティーク特有の味は出にくい
・水気や湿気に弱い
・リメイクや修理が難しい
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